お嬢様の躾






――紅魔館


 幻想郷の中でも最大級であろう大きな湖。
その中ほどにある館の主であり夜の王であるレミリア・スカーレット。
数ある妖怪の中でもプライドの高い彼女の今日の目覚めは一味違った。

「何てこと……この嫌な感触、もう500年ぶりになるかしら」

 やってしまった――
彼女は食事の後と寝る前は必ずティーブレイクを入れる。
昨日は蒸せたので多めに水分を取って、そのまま就寝したのがアダとなったようだ。

「お嬢様、お目覚めですか?紅茶とお着替えの用意ができましたわ」
「あ、あぁ……おはよう、咲夜」
「どうされました?シーツも取替えますので起きてベッドから離れて頂けませんか?」

 主人の威厳を削ぎ取るような失態、しかし悔やんでも時は戻らない。
レミリアは渋い表情のままいつもよりゆっくりとベッドから離れた。

「あら、お嬢様……シーツもおパジャマもこんなに汚されて……これは洗濯に時間が掛かりそうですわ」
「……ごめんなさい」
「やってしまったものは仕方ありませんけど……お嬢様はこの紅魔館の館主なのですから」

 言葉は途切れたが咲夜が思っていることに察しはついた。
自己弁護など本当はしたくないが……
しかしそこは誇り高き吸血鬼、自分がどう思われるかは大事なのである。

「た、たまたまよ。昨日は暑くて多めにお茶をのんだから……」
「分かっていますわ、お嬢様は夜の王ですもの……同じ過ちは繰り返さないことぐらい承知していますわ」

 咲夜はわざと少しレミリアの羞恥心を煽るような言い方をしてみた。
500年以上生きているとはいえ、外見年齢と同様に精神年齢も幼いレミリアは
売り言葉に買い言葉なのか、自信たっぷりに取り返しのつかない言葉を口走った。

「当たり前よ、もし今度してしまったら罰を受けてもいいわ」

 咲夜は妖しい笑みを浮かべながら短く答えた。

「承知しましたわ」

 その時レミリアはまだ気づいていなかった。
咲夜の笑みの意味に……

――そしてその日の夜明け前

「そろそろ寝る時間ね。――さてと」
「あらお嬢様、今日は就寝前に喉を潤さないのですか?まさか今朝(昨日の日没)のことで……」

 咲夜は普通なら言わなくてもいい事をわざと口にした。
明らかに煽る為である、しかしレミリアはそれに気づかない。

「ちょ、ちょっと忘れてただけよ。飲むわ、カップを貸して」

 レミリアは少しドギマギしながら紅茶を飲んだ。
そしてその様子を見ながら彼女に悟られないように咲夜の口元が緩んだ。
……後ろに回した手に薬瓶のような物を握り締めて。





 次の日、起床したレミリアは愕然とした。
彼女のプライドが許さないような事を自分自身でやってしまった。
もうすぐ咲夜が部屋にやってくる。
なんて言えばいいのか、どんな顔をすればいいのか分からないまま部屋の扉は開けられた。

「おはようございます、お嬢様」
「咲夜……私は今あなたに何て言えばいいのか分からないわ」

 咲夜は敢えて理解できない、と言った感じで彼女に言った。

「はっきりと仰って下さらなければ分かりませんわ。“何を言わなければならないのか”を……」

 少しの沈黙の後、レミリアは重い口を開いた。
その様子はまるで子供が親に叱られた時の様に滑舌が悪く
バツが悪そうな表情だった。

「昨日、もうしないって言ったばかりなのに……」
「何をされたのですか?」
「……ぉ、……ね…しょ……」
「お嬢様……確か昨日、おっしゃいましたよね?」
「分かってるわ、自分で口にした以上……罰を受けるわ」

 咲夜は心の底から飛び出しそうな位に嬉しい感情を必死に抑えながら冷静を装った。

「では、食事の後すぐに私の部屋へ来てください」
「……分かったわ」

 食事と言っても人間の血液を2割ほど混ぜたトマトジュースだ。
しかもレミリアは少食なため、食事にかかる時間は短い。
意を決したかのように量にして300mlほどのジュースを一気に飲み干し
咲夜の部屋へと向かった。

「お待ちしておりましたわ……お嬢様」

 時間的にはほんの10分程だが咲夜にとっては長く感じられたのだろう。
楽しみなことの前の待ち時間は長く、永く感じられるものだ。

「ではお嬢様には罰を受けてもらいます、よろしいですか?」
「……うん」
「早速ですけど服を全て脱いでもらえますか?」

 服を脱げ、と言った以上辱めを受けるのは分かっていた。
だが彼女にはこれを拒否する事で恥を上塗りするのはもっと嫌だったので渋々従った。

 パジャマ代わりの薄いブラウスのボタンを全て外すと
血を好んで食しているとは思えない程の白い肌が少し欠けた月光に照らされた。
そしておもむろにはきかえたばかりのドロワーズも降ろし、一糸纏わぬ裸体をさらけ出した。

「……脱いだわよ」
「お美しいお身体ですわ、では次はこれを首に付けてください」
「え……?」

 満面の笑顔でベルトのような物を渡した。
それは1.5メートル程の鎖が付いたレザー製の首輪だった。
レミリアはおどおどしながらも黙って首輪を付ける。

「お嬢様は罰として今夜一晩、私の犬になってもらいますわ♪」

 首輪を見たときから薄々感づいてはいたのだろうがそのセリフと微笑を浮かべた咲夜に少し恐怖した。

「では犬らしく四つん這いになってください」

 レミリアは顔を紅くして少したじろぎながらも四つん這いになる。
普段我侭を言ってコキ使っている従者の前に生まれたままの姿を晒しただけでも
恥ずかしくて震えているというのに首輪を着けろという命令。
まさか自分が従者の犬になるなんて……考えもしなかっただろう。

「んーだんだん犬らしくなってきましたね、でも何か足りませんねぇ……」
「くっ……」
「そうだ尻尾がありませんわ、早速付けましょう♪」
「ちょっ、と……何をすっ、あっ!やめっ、てぇ……」
「極力痛くないようにしますから我慢してくださいね……フフ」

 四つん這いで丸見えになった排泄用の小さな穴に
尻尾の代わりと言わんばかりの掃除用のハタキがねじ込まれる。

 痛くないようにするなら時を止めて挿れればいいのだが
それでは面白くないのだろう。
咲夜は普段のレミリアからは想像も付かない黄色い声を楽しむかのように
ゆっくりと“尻尾”を装着した。

 慣れない異物感、更に穴の周辺がヒリヒりしてレミリアは少し涙目になる。

「これでお嬢様は完璧な犬ですわ、今の姿を見て自分でもそうお思いになりません?」

 2メートルほどの立て鏡を用意し、彼女に見えるように設置する。
そこに映ったものは四つん這いになり、身に着けている物は
首輪と尻尾と帽子だけ……鎖で繋がれた犬同然の姿の誇り高き夜の王が居た。
これほどの屈辱的な仕打ちにも耐え、目に涙を溜めながらなんとか返事をした。

「そ、そうね……ひゃうっ!」

 かろうじて発したレミリアの返事を聞いた咲夜は
不意に首輪に繋がれた鎖を引っ張った。

「今のお嬢様は犬でしょう?犬らしく答えなさい」

 優しく、そして妖しく微笑みながら彼女は……そう主に命令した。

「くっ、うぅ〜…ゎ、わん。」

 羞恥とプライドに邪魔されながらも羽をヒクつかせ、レミリアは力無くそう鳴いた。

「よしよし、いい子ね……じゃあ次はお散歩に行きましょうか、夜明けまでまだまだ時間はありますわ♪」
「うー、こんなトコ、もし……誰かに見られたら」
「へ・ん・じ・は?」
「……わん」

 渋々と返事をし、鎖に引っ張られる形でレミリアは四つんばいで歩き出した……犬のように。

 レミリアにも考えはあった。
紅魔館は広い、外に着くまでに朝になりこの罰も終わるだろうと踏んでいた……しかし現実は残酷である。

 レミリアとしては外で出るまでに少しでも時間を稼ぎたかっただろうが咲夜が空間を歪ませたのだろう、
部屋から10数歩でベランダ伝いに外へ出ることになってしまった。

 夜風が何も着けていない幼い肌に当たる度に震えが走る。
緊張もあるのだろう、黒を帯びた羽がピンと伸びている。

「さあ、歩きましょう」
「ぅ…わん。」

 鎖を引っ張られレザーの首輪がグイっと首を圧迫するがちゃんと返事をした。
抵抗してこの痴態を晒す時間が長引くのを恐れたためだ。

 四つん這いで歩くため、膝が擦れて痒さに似た痛みが走る。
だがそれ以上にまずい事があった。

「咲夜、その……お腹が冷えて……したくなっちゃったんだけど…」
「あら、おしっこがしたくなったのですか?んー……丁度いいわ、そこに木があるでしょ?」

 その先は言わなくても察しはついた。そこでしろ、と言うのだろう。

「でも、こんなところで……」
「……お嬢様に許されたご返事は一つだけでしょう?」
「…………わん」
「じゃあ犬らしくなさってくださいね、最も敷地内と言えどここは外ですから誰が見てるか分からないですけど」

 自分の従者とは思えない羞恥心に追い討ちをかける一言……
夜でも、いや夜こそ妖怪や妖精は活発に活動している。
以前に出した紅い妖霧も完全に晴れている今、闇のどこから誰の目が光っているか分からない。

 しかし、我慢もできない。
意を決して片足を木の幹に向かってあげ、チョロチョロと薄い黄色の液が
木の根に放たれ始めた。

「ふぅぅう〜……(早く、早く全部出て!)」

 出し終わろうと急ぐが中々出きらない、というより
終わるまでの10数秒が何時間にも感じられた。

「ぅぅぅ……ぅん!く、ふぅ〜……」

 ようやく全て出し切り安堵の表情になる。
慣れないポーズのために太ももをから少し小水が垂れているが
今までの羞恥と今現在の安堵感が合わさり気づきもしない。

「はい、よくできました……ではご褒美にお身体に飛んだおしっこの処理をして
気持ちよくして差し上げますわ。後で痒くなったらいけませんものね。」

 そう言うと咲夜はレミリアを四つん這いから仰向けにさせ両足をあげさせた。
乳児がおむつを取り替える時の様な格好……こんな場所でこんな事。
そんなレミリアの恥辱に満ちた表情も意に介さず
咲夜は尿が飛び散ったふくらはぎの部分や足の付け根から膝まで垂れた部分を
丹念に舐めあげる。

「あぁ……んっ!はぁっ……」

 咲夜は舌の先と舌全体を上手に使い分け、舐め方にも不定期に強弱のアクセントを付けて
楽しませてもらったお礼と言わんばかりにレミリアの下半身に奉仕した。

「まあ、せっかく綺麗にして差し上げてるのに別のお汁が垂れてますわよ?」
「あっ、うー……」
「いけない子ね、ちょっとお仕置きが必要かしら」
「ふぇ?……えっ、え?」

 咲夜の声が少し低音になり少し恐くなる。
その瞬間、突然身体を抱え上げられ両太ももがロックされる。
例えるなら母が幼児に「しーしー」をさせるポーズだ。

「驚かせて申し訳ありません、しかしお嬢様のお身体があまりにも刺激を求められてますので」

 確かに咲夜に舐められている時、いや既に四つん這いになったときから
レミリアの小さな秘部は湿っていた。
しかし今の抱えられた状態では自分で慰める事もできない。
例えできたとしても咲夜が許さないかもしれない。

「どうされたいのですか?普通に喋ってもいいから答えて下さい」
「…って……て……ヵせてぇっ…」
「聞こえませんわ。もっと大きな声で!」
「……イかせてぇ!私のっ……えっちなトコぉ、掻き回してイかせて欲しいのぉ!」
「よく言えました、ではお望みどおりに……さっきからギャラリーも増え始めてるようですし…ぅふふ。」

 レミリアはハッとした。
羞恥と快楽で全く気づいていなかったが確かに
夜の闇に紛れて妖怪達の気配を感じる。

「湖周辺の妖精か……近くの森の妖怪か、あるいは両方かも知れませんけど」
「え……!?」
「お嬢様がおしっこしてる時からずぅっと見てらしてましたわ」
「そ…そんな……(見られてた…今も見られてる…!)」

 誰にも見られたくない、恥辱を受けている所を一部始終見られ
紅魔館の館主、夜の王としての威厳やプライドが吹き飛んでいくのを感じた。
そしてレミリアの中で何かが壊れた音がした。

「ではお望みを叶えてあげますわ!」
「え……ひゃんっ!は、ぁぅっ……はぁ、ぁん!」

 咲夜は悪戯な微笑みを浮かべながらレミリアの大事な部分をちゃぐちゃぐと
卑猥な音をたてながら責め立てる。
指二本で掻き回しながら小指で菊座に刺さった“尻尾″をツンツンと揺らす。

「あっ!ぁあっ!咲夜ぁ、それ……いいのっ!もっと、もっとしてぇぇぇぇっ!!」
「ここの穴がそんなにいいんですか?ぅふふ、お嬢様可愛い♪」

 リクエスト通り、咲夜は尻尾をグリグリと機械のレバーのように回し首筋に舌を這わせる。

「すごっ……はぁ、あぅんっ!そこっ、スゴイいいぃっ!もうっ……もう、私っ!」
「見られながらおしっこして感じてお尻でイっちゃんですか?お嬢様はとんだ変態さんですねぇ、フフ♪」
「う、んっ!……そうなの、見られてぇ、お尻で感じるのぉっ!」
「じゃあどこの誰か分からない皆さんに見られながらイきなさい!」
「あぁっ!あんっ!はぅ、いっ……ぃっ、イクっ!……はぁ、ん!み、見てぇっ!
 みんな、わたしがイクとこ見てぇぇぇぇぇっっっ!!!!」

 理性も何もかも失い感情のまま叫び、ボタボタと大粒の雫が弧を描いた。
そして咲夜はその状態のまま眠りについたレミリアの頬にそっと口づけた。

「さてと、後片付けをしなきゃね……幻世『ザ・ワールド』、時は止まる……そして、チェックメイト!」

 咲夜は時を止め、今までの様子を見守っていた妖怪達に無数のナイフを投げつけた。
その後、影から隠れて写真を撮っていた天狗を見つけフィルムを奪い取った。

「そして時は動き出す……ふぅ、後片付け終わり。お嬢様のこんな痴態を楽しむのは私だけで十分だわ」

 主を護るのは当たり前、と言わんばかりの『後片付け』……
従者としての本分、というより愛する者への独占欲といったほうが近いであろう、レミリアへの躾。





――そして次の日

 お互いにとって忘れられない一夜が明け、それでもいつも通りに
主の部屋を訪れた咲夜は少し驚いた。
一昨日、昨日、そして今日……三日連続で見せる主のバツの悪そうな顔。

「あれ?お、お嬢様……?」
「咲夜……ごめんなさい、また……しちゃったわ……今日もお仕置きね」

 今日は咲夜は何も仕組んでいない。
それによく見るとシーツの濡れ方もどこか不自然だった、まるで故意に濡らしたかのような―――

(ふふ、お嬢様ったら素直じゃないんだから、でも……可愛いっ!)

「またですか〜?それじゃあ、首輪を付けましょうか―――」
「………わん」

                                    糸冬

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

後書き

過去作……っていうかネチョではこれが処女作だったりしますw
修正前のは幻想行きということで……

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