三月五日は巫女の日







「今年も来たわね――決行の日が!」



 やっと来た三月初旬の春を象徴する日差し、冬の妖怪も影を潜めて紫はまだ冬眠中。
そして新聞屋は記事の編集中だから外出できない。
オマケに午前中だから吸血鬼も来ない。

 これだけの好条件が揃った一年に数えるほどもない日を霊夢は待ちこがれていた。
普段はあっけらかんとしていて人妖分け隔てなく付き合うが誰とも深入りはしない、
そんな霊夢が持っている誰も知らない、誰にも知られてはいけない趣味があった……

「よし、昨日の内に敷地中に強い結界も張っておいたし……あぁダメ、何度やってもドキドキするわ」

 霊夢は自分に言い聞かせるように独り言を喋りながらするすると上着を脱ぎだし
サラシを外し紅いスカートの留め金をカチリと外す……そして最後にドロワーズを降ろし
身に着けているのは袖と髪飾りだけとなった。

「いよいよね……行くわ、いざ外へ!」ガラッ

 ゴクンと唾を飲んだ後、縁側の引き戸を勢いよく開けると春らしい心地よい日差しが霊夢の身体を照らし出す。
降り注ぐ日光のせいか、神社の敷地内とはいえ外で裸体を晒しているせいなのか
身体の内側から高揚感が溢れ出る。

 そして袖だけを纏い、普段は大事に隠してある部分は丸出しのまま
ドクンドクンとくる葛藤を抑えながら歩き出した。

 神社の敷地全体には特殊な結界が張られ結界の外からは中の様子は伺えないし声も聞こえない。
しかし結界の中からは外が丸見えで音も丸聞こえ、と外の世界で言うマジックミラーのようなものである。
そんな結界でも危険はある、スキマ妖怪ならその能力ゆえ結界の一つや二つは簡単に破れるだろう。
吸血鬼の規格外のパワー、妖力なら力ずくで結界をぶち破るかも知れない。
天狗なら結界を破るほどの力は無いが妖怪の山独自の文明の利器がある、結界を通しても撮影されるかも知れない。

 それらの様々な危機を想定してその全てを回避できる日を選んだのだ。
しかしここまで用心に用心を重ねても霊夢は周りをキョロキョロと見回しながらおどおどと歩いている。

 普段から様々な人妖から言い寄られても誰とも交わらず一人で処理するのが誰よりも好きな霊夢にとって
野外で痴態を晒すプレイは密かな憧れであり、それでいて誰にも見つかりたくないという願望も併せ持っている。
こんな場所で一人で慰めている所をもし見られたら…でも見て欲しい、しかし見つかりたくない。
その全ての欲望を満たすのがこの用意周到に万全を期した結界内羞恥プレイなのであった。

「この木……あと三週間もすればここに妖怪や亡霊が集まって皆で宴会するのよね…んっ」

 霊夢は庭にある一つの桜の木の前で止まり、座り込むと袖から手を出し
室内で服を脱いだ時からピンと張りっぱなしの胸の突起を指で突付き、そして摘みコリコリと扱き出した。
反対の手は契りを結ぶ相手に愛撫されるような手つきで腹から太もも、そして無駄毛一つ生えていない
足の付け根の周囲を撫で回した。

「んふぅ、あっ…私、皆が宴会してるっ…こんなトコで、一人でシてるのぉ!」

 次第に息が荒くなりそれに比例して指の速度があがり、半ば指圧で押し付けるように
乳房と秘所を擦り出した。

「はぅ、んぅ……あんっ!……あ」

 ふと木の裏手――
境内とは逆方向の林の方を見ると人影が見える。
普段、異変を解決する際に必ず道中で邪魔をしてくる名前も無いような妖魔だ。

 妖魔は何か用がある訳でも無くボーっと神社の敷地内を見ているが
敷地外から見ている為、妖魔からは数メートル先で淫らな行為をしている
霊夢の姿は見えず、また声も聞こえない。

 あちらからは明らかに見えていない事を確認した霊夢は更にペースを上げる。
さっきよりも大きな声を上げ、何も気づいていない妖魔を挑発する様に後ろを向き四つんばいになり
ぬるぬるとした粘液がしたたり落ちるほどになった秘所に指を出し入れさせて見せつけた。

「あふ、ああんっ!…どう?…んはぁ…見て、私のっ、いやらしいところぉっ!」

 問いかけられても何も反応は無い。
妖魔からは霊夢の姿も声も聞こえないのだから当たり前なのだが。
それでも霊夢は手を休めず今度は妖魔の正面を向き足を広げ腰を突き出し
グチュグチュと指で膣内をかき混ぜる、それはまるで淫靡なショーの主役の様に。

「ほら、ほらぁ…こんな、いやらしぃ音っ出てるっよぉ!んはぁ…」

 うつろな目で顔を紅潮させ激しい自慰行為を見せ付けるが妖魔には何の事だか分からない。
結界の外からは声はおろか姿さえ見えてないのだから当たり前だ。
少しの間ぼーっとしていた妖魔は何か用でもできたのか後ろを向き神社を後にした。

「あっ、待って、行かないでっ…私もう、くっ……も、ダメっ、イっク、―――」

 達した霊夢はその場で仰向けに倒れこみ息をついた。
少し醒めたところで絶頂に至った為、物足りないと思ったのか余韻にも余り浸らず
さてこれからどうしたものか、と立って歩きながら考えていると……

「さてと、……あれ?――え、何……?」

 境内の方から声が聞こえた。
思わぬ出来事に霊夢の身体はビクっと震え、声のした方を向いた。
声の主は……巫女だった、霊夢にも見覚えがある少女。
普段の霊夢と同じような巫女装束だが色が違う、最近幻想郷に入ってきた
妖怪の山に神社を構えている東風谷早苗だった。

「きゃあああああっ!変た――」
「おっとぉ!」

 電光石火だった、霊夢は普段のぐうたらぶりを覆すような天狗顔負けの速度で
悲鳴をあげ逃げようとする早苗の後ろに回りこみ腕を掴んだ。

「厳重に結界を張ってあったはずなんだけどねぇ……誰が変態ですって?」
「八坂様の奇跡の力を借りれば結界くらい張っても入り込めるわ……それより」

 早苗は掴まれた腕をほどき霊夢の正面に向き合い改めて答えた。

「誰がどう見たって変態じゃないですか!こんな屋外で……は、裸になって!」
「フン、どうやら知らないみたいねぇ……まぁ、幻想郷では日が浅いからしょうがないか」
「……どういう意味ですか?」

 霊夢からすればこの場を切り抜けるためのでまかせなのだが
早苗にとってはこの珍妙な状況と意味深な台詞に疑問をなげかけない訳には行かなかった。

「まあその前に……あんた、なんでここに来たの?」
「え?………あ、里にお買い物に行ってて、帰りに神社を見かけたら強い結界が張ってたから何があったんだろう?って」
「ふーん……分かったわ、じゃあさっきのと今の二つの疑問にいっぺんに答えてあげる……それは」
「――それは?」
「幻想郷の秩序を護る為よ!」
「…………はぁ?」

 突拍子も無い答えに思わず訳が分からない、といった表情になる早苗。
まあ当然である、言った霊夢も何も考えていないのだから。
しかもこのほぼ全裸の姿で真面目に言われても説得力を感じろというほうが難しいだろう。

「いい?幻想郷は毎年、年度末の月に外の世界との結界が弱くなるの」
「はぁ…」
「それで結界を張りなおす為に博麗が祀る神様の力が必要なのよ、それで巫女として神様の力を借りる為に」
「ちょ、ちょっと待ってください!」
「何?」
「神様の力と巫女が裸で外をうろつくのと何の関係があるんですか?」
「話は最後まで聞きなさい、外の世界から幻想郷を隔離する為の結界はとても強力なものでね、
 神様の力だけじゃダメなの。そこで神に仕える巫女の愛液を奉納する事で神様の力を増幅させてやるのよ」

 僅かに一瞬だが妙な説得力が感じられたのは早苗が幻想郷に来て間もないからだろうか。
ソレらしい事を自信満々に言われるとそうなのかと頷いてしまう。

「――で、その儀式に適した日が今日…3月5日、通称『巫女の日』なのよ」
「は、はぁ…分かりました、では私はこれで…」
「ちょっと待ちなさい」

 もはや話が本当なのかどうなのかは早苗にはどうでもよく、目のやり場に困るので早々に立ち去ろうとしたが
そうは霊夢が許さない、後ろから抱きつく形で早苗は羽交い絞めにされた。

「あなたも巫女でしょう?……幻想郷のしきたりを覚えていきなさい」
「い、いや私は結構です」
「結構です、か……物分りがいいのね、じゃあ脱がせるわよ」
「え、えぇっ!?ぁ、ダメっ!」

 曖昧な断り方が肯定と取られてしまったようだ。
というより結界の中に入った時点でタダで帰す気はなかったようでもあるが。

 慣れた手つきであっという間に衣服の上下を脱がされ袖だけの姿になる早苗。
装束の下はしきたりどおりなのか神の趣味なのか何もつけておらず柔らかな肢体があらわになった。

 外の世界で育ったせいかその二つの膨らみは何処かの門番までとはいかないが幻想郷では大きい部類に入る。
しかし肌は水も弾くような艶やかなきめこまやさがあり大事な部分も同様に何者にも侵入を許していない
神聖さがあった。これが現人神と呼ばれる所以か。

「あ、あの……服を返して下さい、恥ずかしいです……」
「まあまあ、慣れれば大丈夫よ……じゃあまず本番の前にほぐさなくちゃね」
「え……あ、ひゃあんっ!」

 賽銭箱に尻を向ける形、即ち境内の方に身体を向けられ霊夢の指が足の間から大事な場所へ侵入してくる。
突然の刺激に声を抑えられない早苗だが霊夢は構わず秘所をまさぐり空いた手で左右の膨らみを揉みしだいた。

「あっ、んっ…そんなトコ、こんな場所で…ダメぇっ!」
「ここでしなきゃ意味が無いのよ、それともここじゃなければもっと弄らせてくれるの?」
「そういう、事じゃなくてっ、あんっ!誰かに見られたら……って、んぅ」
「だから結界を張ってるんじゃない、こんな場所でいやらしい事してるあんたを見てるのは私だけ…安心なさい」
「いや……いや、なのに……はぅんっ!」
「そろそろいいわね……じゃあ本番行こうかしら」
「……ぇ?」

 秘部を擦る霊夢の指が次第に粘液に包まれ、さする音はクチュクチュと水気を帯びた音になっていく。
嬌声を交えた早苗の反応に満足がいったのか早苗の身体を持ち上げ本堂の方へ向け賽銭箱の上に乗せた。

「な、何をするんですか……?」
「これからあなたの愛液を神様に奉納するの、眼の前に縄があるでしょ?これをゆらして……」
「もしかして、まさか……あひぃっ!」

 霊夢は少し宙に浮き賽銭箱の上にある太く幾重にも締められた縄を早苗の股間へ巻きつけ上下させた。
荒い表面に湿った敏感な部分をズリズリと刺激され早苗は悦楽に満ちた声を出す事しかできなかった。

「ひぁっ、くふぅ、凄ひぃっ!ひぐっああんっ!」
「いいわよ早苗……あなたの甘い蜜が順調に奉納されてるわよ」
「あひっ、お、お豆がっ…擦れてぇっ、気持ちイイのぉっ!」

 ボタボタと愛液は賽銭箱に吸収されていきガランガランと鐘が鳴る。
いつしか早苗は自分から縄を掴み秘部に擦りつけ快楽を貪っていた。

「だめぇっ!気持ちっイイのが、止まんないよぉ!」
「可愛いわよ早苗……そろそろイっちゃいなさい…くぷ」
「ふぇ?……はあああああらめぇっ!」

 早苗が夢中で擦り付けている後ろで霊夢は後ろの窄まりに指をすべらせ一気に突きいれ掻き回す。
秘部に意識が集中している最中、後ろからの唐突な刺激に早苗の身体は海老反りになりそれによって
更にクリトリスが刺激され一気に絶頂を達することとなった。

「おひりぃっ、いやっ!あひぃぃぃぃっ!!!」
「……イったみたいね、でもまだよ―――」
「ふぅ、はぁ………え?」

 息をつき小水のように愛液を垂らしながら賽銭箱の上にしゃがみこんで項垂れる早苗だったが
霊夢によるとまだ終わりではないらしい。

「あなたのいやらしい姿見てたらね……ほら」
「あ……こ、こんなに…凄い」

 早苗の手を掴み自らの秘所にあてがう霊夢。
一度は渇いたソコだが再び水脈の如く暖かい蜜が溢れ出ていた。
眼前で早苗の痴態を見て、そして触れていればそれも必然である。

「ね、ココ……弄って」
「……はい」

 一度達した事で何かが吹っ切れたのか早苗はとりあえず箱から降りて霊夢と向き合うように立つ。
霊夢も早苗の秘所に手をやりお互いがお互いの大事な部分を手のひらに収める、
という形で向かい合い……どちらからか分からないが自然に唇と唇が重なり合った。

「ん……ちゅ」
「ぅむ、んー…」

 ちゅぐ、くちゅ、ぐじゅ……
くちづけが合図となり二人は互いの秘部を撫で、擦り、時には広げ…と、弄び合った。
両者とも目はうつろになり目の前にある秘肉を貪りあう。
自慰行為とは全く違う他人の手、そしてキス。
なんて気持ちがいいのだろうか、もう建前など頭にない。
己が性欲を満たすため、自分が気持ちよくなるために眼の前の相手を気持ちよくしてやろう。
相手が気持ちよくしてくれるならば自分も相手をもっと気持ちよくしてやろう。

 太ももから垂れた蜜は脹脛、つま先と伝い二人の足元に小さな水溜りが出来るほどになっていた。
そして少しでも指の動きが鈍くなると催促の合図と言わんばかりに唇を重ねあう。

「んむ、ふ…んぅ、れろ」
「ぅ……あむ、んっ…はぁ」

 舌と舌が絡み合う音が耳をつく、生き物の様に互いの口内を蹂躙しあい
唾液を吸いあい、時には甘咬みしながら唇を重ねながら舌を愛撫する。
少しでも唇がずれると紅く染まった頬に互いの吐息がかかり口元からは涎が垂れる。
それすらも舐めとりまた相手の口内へ戻し、わざとらしい程の淫猥な音を立て舌へ奉仕する。

 そんな甘ったるく、それでいてキスというには濃厚すぎる交わりに疲れてきた頃に
再び互いの秘所にあてがわれた手が動きだし敏感な部分をまさぐりあう。

 ず、ずぷ……にゅぷ

「あっ…指ぃ、入っちゃったぁ…」
「んはぅ、クチュクチュいってるぅ…」
「んっ…もっと、掻き回して…ください、ふぁ」
「うん……」

 数十分にも及ぶ愛撫の応酬で存分にほぐれたのか二人の指はそれぞれの秘部にあっさりと入った。
そこから更にクニクニと上下させたり、入れては抜き入れては抜きのピストンを繰り返したりと
グチュグチュと水気を含んだ肉が掻き回される音が響くが、二人の甘い嬌声はそれすらもかき消した。

「どう、早苗っ、あんっ!気持ち、いいっ?」
「ふぁ、はんっ、いいっ…です、気持ちっイイっ!」

 どちらももう絶頂を迎える事しか頭になく、ガクガクと震えた膝は快楽で立つことすらままならず
どちらからともなく膝立ちでもたれ合う形になる。
右手は互いの秘肉をこねくり回し、残った左手で強く身体を抱きしめあった。

「あひっ、あっ…も、ダメですっ!あんっ!」
「んっ一緒にっ…いこ、神様のっ見てる前でっ!一緒にっ、いっしょにぃ!」
「はあんっ!あっん、お願い…ぎゅって、ぎゅってっ…してくださいっ!」
「んんぅんっ、くはぁあんっ!イっ、イッちゃ、あ、あ、ぁ、あっ!」
「「んっ、はぁぁぁああああああああんっ!!!」」





「はぁ、はぁ……ふぅ……ねぇ、早苗」
「ん……すー、すぅ…」
「あらら、寝てるわ…………ま、たまにはいいもんね……二人も」



 そして次の日、博麗神社――



 お茶を飲み、掃除をするだけのいつもの日常に戻った霊夢。
早苗にはとりあえず昨日の事は二人の神には内密に、ということにしておいたらしい。
幻想郷に来て間もない洩矢神社の神には理解できないだろう、とのことだった。

 そんな訳でいつものように境内を掃除していると黒い物体が飛んできた。
用事は無くともしょっちゅう来る普通の魔法使い、霧雨魔理沙である。

「よー霊夢、元気だったか?」
「何よそれ」
「一応昨日も来たんだがな、神社全体に結界が張ってあったから留守かと思ってな」
「あ、あぁ…まぁちょっとね」

 霊夢は全く気づかなかったが魔理沙は来ていたらしい。
しかし魔理沙の言うとおり結界を張っていたので結界内部の事までは
分からないようだったのでひとまず安心といったところか。

「しかしあれだな霊夢、もうすぐ宴会だけど……いつも日にちが曖昧だよなぁ」
「えぇ、そうね。でも困らないじゃない?」
「この際決めとくってのはどうだ?例えば春の宴会は……3月5日で巫女(35)の日…なんてどうだ?」
「――――えっ?」



     糸冬
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
後書き

 初のレイサナはHENTAIなのかノーマルなのか良く分からないプレイになってしまいました。
霊夢は絶対露出癖があるはずです、っていうかあってくれ。頼む。
早苗さんも露出癖…までといは言いませんが願望はあるはずです、少しは。
真面目な子だけど腋出してる…って時点でそう思わざるを得ない。

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