赤と黒



 いつものようにお茶を啜りながらふと思い出した。
そうだ、今日はあいつが来る日だった。
と思った傍からこちらにドタドタと凄い勢いで走ってくる音が聞こえる、どうやら来たみたいね。

「霊夢ぅぅぅっ!!」
「……何よ騒々しいわね」
「もう、もう我慢できないんだ!早くなんとかしてくれよぉ!」

 私の友人である霧雨魔理沙は切羽詰った表情でこちらに向かってスカートを捲り
股間を突き出した。
女の子らしからぬ突起がドロワーズをパンパンに張り詰めらせている。

 何故こんなことになってるのか、それには訳があるわ。
まあ……魔理沙の自業自得なんだけどね、いつものごとく。


〜〜〜以下、長い永い回想〜〜〜


「なあ霊夢、私……今度の実験が終わったらお前に凄い物を見せてやるぜ」
「なにその失敗フラグ、またキノコを使うやつ?」
「失敗と決め付けないでくれ、まあキノコは使うんだが……凄いことになるぜ?」

 自信満々の笑顔で言い切る魔理沙。
格闘漫画の噛ませ犬キャラが戦闘前にいきがってるみたいに見えて微笑ましい。

「凄い物ってなによ、今開発中なの?」
「あぁ、練成中だぜ……とうとうやり方が分かったんだ、胸を大きくする魔法がな!」

 自信に満ちた表情で言うから何かと思えば……そんなにコンプレックスがあるのかしら。

「ふーん……で、誰を実験体に使うの?」
「私自身に決まってるだろう」
「珍しいじゃない、大体いつもの実験ならアリスあたりを騙して実験するでしょ?」
「それで成功してアリスが巨乳になったら悔しいじゃないか、それに成功させる自信があるから自分で実験するんだぜ?」
「……まあ、がんばんなさい」
「おぉ、実験が終わったら見せに来るぜ。きっと霊夢も私の溢れんばかりの母性にめろめろになるぜ!」
「言ってろ」
「そんじゃあな、お茶ごちそうさんだぜ!」

 そしてその日から一週間くらい経ったが魔理沙は神社へ来なかった。
練成中って言ってたからそんなに時間は掛からないと思うんだけど……
まあ大方失敗して部屋の隅で体育座りで落ち込んでるんだろうと思いからかいついでに
少し慰めてやろうと私は魔理沙ん家へ飛び立った。

――霧雨邸


 ドンドン、ととりあえずノックをしてみる。

 しかし返事はない。
よく耳を澄ますと中でガサゴソと音が聞こえる、留守ではないようね。
聞こえなかったのかしら?

「魔理沙ぁ!」

 大きな声で呼んでみたけどやっぱり返事は無い。
居るのは分かってるから勝手ながらあがらせてもらうことにした。

 ガチャッ……と扉を開けた途端異臭がした。
むわっとして、すっぱいような臭い。
家中ガラクタだらけで足の踏み場も無いが臭いの原因はこれではないだろう。

「うっ…く、ひぐっ…」

 奥からから声が聞こえる、魔理沙の部屋から…魔理沙のすすり泣く声が。
何があったんだろう、とりあえず部屋へ向かってみた。

「んっ…ふぅ」
「魔理沙、家中凄い臭いじゃない。何やって……って何やってんのよ!?」

 魔理沙は居た、魔道書やらキノコやらが散乱した部屋の中で何一つ身に付けてない状態で泣いていた。
女の子には付いていないはずのモノを……握り締めながら。

「な、何やってんのよ?……胸を大きくするんじゃなかったの!?」
「れ、霊夢ぅ…助けて、おち…ちん、ビクビクが…止ま、ないよぉ…」

 こちらを見上げ股間の棒を擦りながらかすれた声で懇願する魔理沙、彼女に何があったのか。
理性はあるようだけど……とりあえずその、何というかアレを止めさせるように言う。

「もう…体中液体だらけじゃない、みっともないからさっさとやめなさいよ」
「止まんない、やめられないんだよぉ……おちんちん、しこしこってするの、やめれない…助けてぇ」

 ……何それ、自慰を覚えた猿じゃないんだから。
まあ何日も続けてたくらいだから本気で止めれないんだろうね、仕方ない……
袖から一枚のお札を取り出し魔理沙の股間に貼り付け色魔封印の術を唱える。

「さあ、これでどう魔理沙?このお札は一時しのぎだから三日くらいしか持たないだろうけど……」
「あ、あ…た、助かったぁ…はぁ、はぁ」
パタっ……
「ちょ、ちょっと魔理沙!大丈夫!?」

 魔理沙は気を失ってしまった、顔も多少やつれている…まぁ当たり前か。
裸で倒れているのはかえって都合がいい、眠った魔理沙を浴室に連れて行き刺激臭にまみれた身体を洗ってやる。
その後家中の窓を開け放ち換気する、このままじゃ強烈な臭いでこっちも倒れそうだもの。

 そして食料庫から食材を拝借して栄養のつきそうなものを作って……って私は家政婦か。
まあいいや、と簡易ながら掃除をして料理の仕込をして
丁度和風スープがいい匂いを放ち始めた頃に魔理沙は目を覚ました。

「ん……あ、あれ?…霊夢?」
「あーようやく起きたのね、あんた馬鹿でしょ?」
「……いきなりそりゃないぜ」
「おおかた実験に失敗したんでしょ」
「ごめん、霊夢……迷惑掛けたな」

 何それ、物凄く魔理沙らしくない。
失敗したのが相当ショックなのか、普段から失敗ばっかりしてるくせに。
よっぽどかっこ悪いと思ったのかな、しおらしい魔理沙も悪くはないんだけど……

「辛気臭い顔してないでスープでも飲みなさい」
「え、あぁ……すまない。……あ、あれ?手が、震えて……」
「あー何やってんのよ……ってもしかして動けないの?」
「いや、その……手がプルプルってして、動かそうとすると痛いんだ…筋肉痛?」
「プッ、くく…オナニーのやりすぎで手が筋肉痛なんて幻想郷中でもあんたくらいだわ、ププ…」
「そ、そんな笑うなよ……酷いぜ」

 あ、いけないいけない。何か涙目になってる。
まあ仕方ない、またさっきみたいに泣かれても困るし食べさせてあげることにする。

「しょうがないわね……ほら魔理沙、口開けて」
「いや待て霊夢、それは恥ずかしいぜ」
「自分で食べれないんだからしょうがないでしょ、ほら…あーんして」
「う……あ、あーん」
「おいしい?」
「あ…う、うん……」

 赤面してうつむきながらもちゃんと「あーん」して食べる魔理沙。
やばい、何かいつになく魔理沙がすごく可愛い…!
普段は強気なとこしか見てなかった反面、照れるところとか泣くところとか不安そうなところとか
色んな魔理沙が見れて……何というか抱きしめたくなる、というか。
この子は私がいないとダメ、というか……私がお母さん、じゃおかしいかな。お姉さんでいいや。
とにかく魔理沙の身の回りの世話をしたい、物凄く母性本能をくすぐられるのよね。
一週間前は「私の母性でメロメロにしてやる」とか言ってた子にこんな魅かれかたするなんて………奇妙なもんね。





 おっといけない、肝心な事を聞き忘れてたわ。

「ねぇ魔理沙、見たところ巨乳にならないで代わりにおちんちんが生えてるのは何で?」
「そ、それは話すと長くなるぜ……」
「いいわよ、聞かせて?」
「……実験に失敗したんだ」
「短っ!……って失敗したのは分かってるわよ、何で失敗してあんなになっちゃってたのか知りたいのよ!」
「実を言うと失敗した覚えはないんだ、魔道書に書いてある通りの材料と呪文で魔法を掛けただけなんだ」
「ふーん………じゃあその魔道書が間違ってるとかじゃない?」
「あ……そ、そうかっ!…お前頭いいな」

 ……呆れた、ちょっと考えれば分かるじゃない。
まーそんな気が回らないような状態になってたから分からなくもないけど。

「はぁ……ところでその魔道書の出所は?」
「……紅魔館だぜ?」
「紅魔館か…例の図書館ね、分かったわ……ちょっと安静にしてなさいよ」
「あっ…ちょ!霊夢!」

 思わず魔道書を持って飛び出してきちゃったわ、我ながら考えられない。
いつものような幻想郷の異変とか危機じゃないのに……考え無しに飛び立ってしまった。
まぁいいわ…えぇとパチュリーだっけ、彼女に聞けば何か分かるはず。





 しばらく飛んでいると紅魔館の門が見えてきた。
門番が居る、しかも今日に限っていつもはいないメイドの警備隊まで居る。
こっちは弾幕ごっこしてる暇なんてないのに……強引に突っ切ろう。

「ふわぁ………暇な昼下がりねぇ」
「美鈴様、前方から例の紅白が」
「え?……ほんとだ、何かいつもよりスピードが速いような……」
「通常の三倍のスピードですね」
「よーし久々の仕事ね………ちょっと待ったそこの紅白!!!」

 大の字になって通せんぼしてきた、こいつら本当に………人が急いでいる時に限って。
無意識に眉間にシワができる。

「どいてくれる?」
「笑止、流石にそう何度も抜かれてたまるk……」
「………どけ」
「ひっ!…は、はい」

 良かった、一睨みで通してもらえたわ。

「……美鈴様、流石に今のはちょっと」
「う……煩いわね、しょうがないじゃない恐かったんだから!……咲夜さんには内緒よ?」

 本当にうるさい、特に緑の奴が。
まあそんなことはどうでもいいわ、たしか図書館は…こっちね。

 図書館に着いた、相変わらず広い。
窓もなく似たような本棚が延々と並んでるから静かで無口な魔女を探すのは一苦労ね。
と思った矢先に……えぇと名前なんて言ったっけ、赤い髪の子。
とりあえずその子が居たからパチュリーの場所まで案内してもらうことにした。

「ちょっとそこの」
「はい何ですか?あまりお目に掛からない方のようですけど」
「パチュリーの所まで連れてって」
「あの、アポイントメントは?」
「引きこもって本ばかり読んでる奴にどうやってアポ取んのよ!これ見覚えない!?」
「……あ、それは」

 例の魔道書を見せた所反応があった。
ここから持ち出された本であることは分かったらしい。

「魔理沙がここから持ち出したこの本について聞きたい事があるのよ」
「わ、分かりました……パチュリー様はこちらです」

 後をついて行くと会議用のような大きな机に小さな魔女が一人黙々と本を読んでいる。
ああやって年中本ばかり読んでるのかな、それじゃ魔女というより本読み妖怪じゃない。
まぁいいわ……ようやく、ようやく魔理沙があんなになった原因に辿りつけそうね。

「……珍しい客ね、何か用?」
「ちょっと前に魔理沙が持ち出したこの本のことで聞きたいことがあるの」
「……なに?」
「この本のとおりにぬかりなく儀式だか実験だかしたみたいだけど現れた効果が全く違ってるのよ!」
「えーと………胸を大きくする魔法、ね」

 パチュリーは私が持ってきた本をパラパラと捲り出した。
そして少し読んだ後ふぅ、とため息をついた。

「……魔理沙はほんと、馬鹿ね」
「いや結論はいいから簡潔に説明しなさいよ!」
「この魔法……魔理沙は自分自身にかけたのね?」
「えぇ、そうよ」
「これ………人間向けじゃない、妖怪用の魔法よ」
「………え?」

 魔法にそんなもんがあるのか、薬なら分かるけど……
でも良く考えたらあるのかもしれない、退魔術だって邪を払う以外に使ったらどうなるか分からないし。

「これはね、低級の淫魔の力を借りて自分の姓のホルモンを肥大させるものなの。淫魔だって色々いるわ。
 人間が好きな奴、嫌いな奴……性質の悪い奴だって居るしただ術者に性欲のみを求める奴もいるわね。」
「じゃあ妖怪用っていうのはなに?…妖怪がその魔法使っても性質の悪いの呼び出したら危ない訳でしょ?」
「だから低級の奴を呼ぶのよ、自分の魔力を自在に制御できる『魔法使い』という種族なら低級の淫魔なんて
 自在に操るのは訳ない事だからね。だから魔法の心得があるといっても人間じゃ扱うのは難しいわ」

 あぁ、納得した。
魔理沙は魔法を使う時魔力を帯びたキノコを使ったり霖之助さんから以前貰った何とかっていう
道具を使って火を付けたり弾幕を張ったりする、空を飛ぶ時だってそうだ。
自分の魔力が少ない、もしくは制御できないから道具で補ってるんだ。

「はぁ……妖怪用って書いてるのに気づかないなんてねぇ。全くあの子は……」
「本には妖怪用なんて書いてないわよ、書く必要ないし」
「えっ?……それじゃあアンタの落ち度じゃないの!」
「ここにあるのは全て私の本よ……勝手に持っていって何言ってるの」
「……ブチ」

 ……何か腹が立ってきた。
この魔女が言ってることは正しいのかも知れない、でも私は魔理沙があんなに苦しんでたのを見てきたばかりだ。
私が様子を見に行かなければ魔理沙はあのまま衰弱して死んでいたかも知れない。
そう思うと多少理不尽でも魔理沙が苦しんでいるのに平気な顔をしているパチュリーに対して
無意識に服を掴んで当たり散らしていた。

「あんたが書いた本のせいでッ!魔理沙は、魔理沙は今あんなに酷い事になってるのにっ!!!」
「だからそれは自業自と……げほっごほっ!」
「うるさいっ!今すぐ何とかしなさい!」
「やめろ霊夢ッ!!!」
「……魔理沙!?」

 我を失いかけた私を止めたのは……いつの間にか背後に立っていた魔理沙の言葉だった。
疲れ果てた顔をしている、あの状態でここまで飛んできたのだから当たり前か。

「魔理沙っ!安静にしてなさいって言ったでしょ!」
「お、お前が……無茶してないかと思ってな」
「そりゃ無茶するわよ!あんな姿見たら誰だって……」
「ふ…フフ」
「何がおかしいのよパチュリー!」
「……いや、あんた達は本当にお似合いのカップルだと思ってね」

 何を言っているんだこいつは。
さっきのやりとりから、この状況で。
魔女というのは空気が読めない種族なのだろうか?

「紅白の熱意と魔理沙に免じて、教えてあげるわ……魔理沙に降りかかった淫魔の解除法を」
「な、治せるのかパチュリー?」
「まあ座りなさい、話が少し長くなるから……リトル、紅茶を」
「あ……は、はい」

 パチュリーは椅子に腰を落とし私達も席に着いた。
少しして運ばれてきた紅茶を啜りながら「解除法」について口を開き始めた。

「淫魔の解除方法は……二つあるわ、生き地獄という程苦しいけど三日で終わる方法と凄く苦しいのが一ヶ月続く方法」
「………どっちも苦しいのかよ」
「どっちにする?……私は関与できないからどっちを選ぶのもあなたの自由だけど」
「うーん………参考までに詳しい内容を聞かせてくれ、三日で終わる方法はどんなのだ?」
「三日で終わる方法は……まずあなたに憑いた淫魔を具現化するの」
「うん、それで?」
「その淫魔に三日間身体を自由にさせるの……ありとあらゆる触手と陰茎で穴という穴を蹂躙されるわ。
 三日三晩、72時間身体の外も中も粘液まみれにされてね。その過程で身体が壊れるかも知れないし
 精神が崩壊して性感を貪る事しか考えられなくなるかもしれない、普通の人間なら尚更ね。」

 横で聞いているだけで身震いした。
サディストなのだろうか、この魔女は。
そんなそら恐ろしい事を更に怪談話のように禍々しく強調して恐がらせるような言い方をするなんて……

 流石に魔理沙もビビったのかこの方法を取ろうとはしなかった。

「も、もう一つのほうを教えてくれ……」
「そっちは簡単よ、今までどおりに生活するだけ。一ヶ月もすれば淫魔は去っていくわ」
「え……?」

 私も魔理沙もパチュリーの言ってる意味がよく分からなかった。
どういう事か聞き返そうとしたところ先にパチュリーが口を開く。

「ただし、一つ条件があるわ……この一ヶ月間、絶対に自慰行為をしないこと」
「はぁ?……意味分かんないわ」
「し、した場合はどうなるんだ…?」
「独りよがりな性的行為は淫魔を喜ばせるだけよ、力をつけた淫魔はあなた自身を喰らいかねない。
 それに……いったん独りでし始めると止めたくても辞められなくなるわよ……それこそ死ぬまで」

 やはりそうだったか、あの時私が魔理沙を訪ねなければ魔理沙は死んでいたのだ。
例え魔法のせいでもオナニーのしすぎで死ぬなんてカッコ悪すぎる、他の知り合い連中に何て言えばいいのよ!
絶対笑うに違いない、私だってアカの他人だったら笑うかもしれない。
魔理沙は一番付き合いの長い友人だしそれでなくても……あの現場を見たらとてもじゃないけど笑えないわ。

 少し青ざめた表情の私と魔理沙を見てパチュリーは安心させるような事を言った。

「でも……自慰行為をすることもなさそうね、霊夢のお札で性欲を封じてあるんでしょ?」
「あ、あぁ……」
「なら心配いらないわ」
「……ちょっと待って」
「……?」
「……え?」

 私が魔理沙に張ったお札はあくまで一時凌ぎみたいなもの。
人間を自発的に死に導くようなタチの悪い者を一ヶ月間も抑える事はできない。
抑えることが出来たとしても三日が限度だろう、それに………
アレはいったん効力が切れると6時間は置かないと再度張っても効果は出ない。
ぬか喜びしてるところ悪いけど……言いにくいけどその事を二人に説明した。

「……そ、そうなのか」
「悪いけど……」
「いや、無理なことじゃないわ……三日に一回6時間だけ性欲を我慢すればいいだけじゃない」
「パチュリー……簡単に言うけどな、あの状態に戻ったら一分一秒でもしていないと……気が狂いそうになるんだぜ」
「我慢できないの……?」
「あ、あぁ……恥ずかしながら、な」

 パチュリーは少し下を向いて黙った、何か考えているのだろうか?
考えていてくれればいいけど……と思ってるうちに再び彼女は顔を上げ私のほうに話しかけてきた。

「……ねぇ霊夢、唐突だけど……魔理沙の事好き?」
「…え?……こ、こんな時に何言ってんのよ!ふざけるのも大概に……」
「真剣に言ってるわ、あなたは……魔理沙の事を大切に想ってるの?守ってやりたいと思う?」

 本当に唐突な事を聞かれたので少しとりみだしちゃったわ……
私はちょっと一呼吸して再度聞きなおしてきた事に答えた。

「……当たり前じゃない、魔理沙は大切な友人よ」
「魔理沙はどう?……霊夢の事好き?霊夢に全てを任せられる?」
「……う、うん……霊夢になら」
「じゃあもう一度確認するわ、霊夢……もし魔理沙が狂ってしまっても……ちゃんと面倒見てやれる?」
「…………一生面倒見るわ」

 ……言い切ってしまった。
でも後悔はしていない、していないけど……何か魔理沙が涙目になっている。
もしかして感動してる?それともこれからの事が不安で泣いてる?

「……じゃあ解決策を言うわ、魔理沙……これからの一ヶ月間、お札の効果が切れたら……」
「……き、切れたら?」
「霊夢に性欲処理してもらいなさい」
「「……は?」」

 魔女という種族は本当に分からない。
さっきまで結構シリアスなシーンだったはずなんだけど………唐突に何を言うかと思えば。

「あの……悪いけど説明してくれる?」
「あ、説明要る?」
「いるわよ!」
「まあ簡単に言うとね、自慰行為は上記の理由でダメだけど……交配する分にはいいのよ」
「こ、交配って……なんだ?」
「セックスとかペッティングとか……まあ好きな相手と互いに求め合う分には問題ないのよ、『魔』は『愛』に無力だから」

 今この魔女サラッととんでもなくクサイ事を言った気がするけど………納得したわ。
まあ色々あったけど解決策も分かった事だし……帰ろうかな。

「ふぅ……しかし解決方法が見つかって安心したぜ……帰るか」
「あー魔理沙、霊夢。最後に一つ……」
「ん、なに?」
「魔理沙、あなたの身体は男性器が生えたといっても染色体までが変わった訳じゃないからね!」
「……どういうことだ?」
「鈍いわね……幾らでも霊夢の膣内に注いでも問題ないってことよ!」
「ば、馬鹿ッ!何言ってんのよ!!!」
「あー分かったぜパチュリー!ありがt…」
「アンタも普通に反応するな!」パーン!
「あいたっ!……酷いぜ霊夢」
「うるさい!帰るわよっ!」

 はぁ、全くコイツらは……

「ちょ、ちょっと待ってくれよ霊夢!……私まだそんなに早く飛べないんだって」
「だが断るわ、別に同じ速度で帰る必要なんて……」
「ま、待って……霊夢、置いてかないでくれよ……」
「あーもうしょうがないわね!ほら、つかまりなさい!」

 なにか泣きそうになってたので手をつないであげたら
急に笑顔になった……全く、調子いいんだから。

「あの……ありがとうな、霊夢」
「しょうがなくよ、あんたが待ってくれって言うから…」
「……す……きだぜ、霊夢……」
「もう……ばか」

 ともあれメデタシメデタシって事かしら?
まあ三日に一回5〜6時間だけ拘束期間は出来たけど……魔理沙の為だししょうがないか。

〜〜〜ようやく回想終わり〜〜〜



 まあそんなわけで魔理沙は今こうして私の前でおちんちんをカチカチにさせて
早く処理してくれるようせがんでいる訳で………

「霊夢ぅ!何してるんだ、早く……早く弄ってくれよぉ!」
「あーはいはい、じゃあドロワーズ脱がすわよ」
ずるずる……ピン

 出てきた出てきた、この三日に一度の処理ももう十回目くらいになるけど……
相変わらず小さくて尖ってて……可愛らしいおちんちんね。

「あらあらもうこんなに硬くしちゃって……触って欲しい?」
「う、うん……触って、擦ってぇ」

 スカートを捲り上げて立っている魔理沙のつるつるの下腹部を両手の指先でそろりと
さすりながら徐々に竿の方へと移動させていく。

「あ…う、はぁ…」

 魔理沙は甘い吐息を漏らしながら性器を刺激される心地良さと一番感じるところに触れてくれない
もどかしさを同時に感じているだろう。
目を半分閉じて口からは篭った声が漏れこちらに何か言いたそうに震えながら見つめる、
そんな魔理沙を微笑みながら見上げるだけで私は十分心地がいい。

 しかし十分もすると魔理沙の方からおねだりしてきた。

「れ、霊夢……その、先のほうも」
「先?……先ねぇ、何処かな〜♪」
「ひゃんっ!あ、ソコ…今のとこぉ」

 小さくそびえる物の色んな部位を指で下から上へとなぞる。
それだけで身体をビクつかせ反応しリクエストする魔理沙……ほんと可愛いわ。
でも……ま、そろそろイカせてあげようかしら。
左手でしごきながら右手で皮に覆われた亀頭の裏すじをクリクリしてあげる。

「へぇ、ここがそんなに気持ちイイの?ほらほら…」
「ぁううっ!凄っ霊夢、イイぃっ!きもひイイぃぃぃっ!」

 ぴゅるるるるっ!どぷ、ぬる……ぴゅ。

「きゃっ……凄いわね、相変わらず」

 散々溜めていたせいかいつも一発目は量が凄い。
噴水の様にドロドロでかつ粘度の高い精液で私の顔を白濁に染め上げる。
魔理沙は息を荒げているがここでへたばるような者ではない、魔法失敗の代償はそんな甘い物じゃない。

 これからが本番なのだ。
私は顔についた精液も碌に拭かず少し柔らかくなった逸物を舌で掃除する。

「いっぱい射精したわね……綺麗にしてあげる♪チロ…チュ」
「あっ、はぁ…ま、まて…イったばかりで敏感になってるから…ん、ぁあっ!」
「んふ、れろ……そんな事言っても…もう大きくなってるじゃないの」
「あぅ、あぁっ!はぁっ…うあっ…」
「んっんっ……んちゅ、ちゅぷ」

 流石にイって間が無いからすぐには発射はないだろうけど………
可愛い魔理沙の可愛いプルプルおちんちん……丹念に舐めあげた後で指で抑えながら
すっぽりと根元まで口に含んで上下に頭を振る。
唇で愛撫し吸い上げながら時折皮の中に舌を侵入させ亀頭と尿道を突っついてやる。
嬌声をあげる魔理沙の顔が見れないのが残念だけど感じてくれてるのは分かる。
自分の手と口で魔理沙が気持ち良くなってくれてるのはよく分かる。
その証拠に私が頭を振らなくても魔理沙は自分から腰を前後に動かし私の口から喉に打ち付けるように動かしてくる。
口内でふるふると震えていたおちんちんも次第に絶頂に向ってだんだん肥大していく。

「いっあ、れ、霊夢……わたし、もうっ!」
「ん?……んおういふほ?(もうイクの?)」
「ふぁっ、はぁ…イッいっ!イク、でる…出ちゃうぅぅぅっ!!!」

 ゴプ、ビュクビュク、ジュプ…

「ん、んく……んっ、コク………はぁ……二回目なのに凄い量ね」
「く…はぁ、霊夢が……霊夢が私のせーえき、飲んでる……」

 二度目の射精なのに濃さが失われていない精液を喉を鳴らして飲み込む私を
魔理沙は涎を垂らし愉悦の表情で凝視している。
そんなに嬉しいものなの?……精液を飲んでもらえるのって。
私はいったん口を離し飲みきれなかった精子を魔理沙にお返しした。

「ふ、ぅ…霊夢ぅ」
「フフ、魔理沙……あなたの精液、飲んでみる?……ん」
「んふ、むちゅ……」

 口移しで精液を魔理沙の口内へ送った後も舌と舌を絡めあい濃厚なキスをかわす。
熱くてぬるっとした舌の感触は更に精液のコーティングでぬるぬる感が増している。
互いの舌を互いの口内に送りあっては唇と舌で愛撫する。
少し口を離すと薄っすらと白いネバついた粘液が垂れる。
それを見るたび私も魔理沙もとろんとした顔で更に唇と唇を合わせ力いっぱい抱きしめあった。

 長い間抱き合い口と口を合わせていると流石に股間が疼いてくる。
魔理沙ももう我慢できないのか私を押し倒し強引にスカートとドロワーズを引っぺがした。

「はあっはぁ…も、もう霊夢もぐちょぐちょじゃないか……いい、いいよな霊夢?」
「うん……来て、魔理沙」
「ふぅ、はぁ…い、挿入れるぜ……」
にゅぷ、ずりゅ……

 魔理沙は私の一番大切な所におちんちんをあてがうとあっさり、ズルっと突き入れてきた。
愛撫するまでもなく濡れていたというのもあるが侵入に抵抗を感じるほど魔理沙のおちんちんは大きくない。
長くもないし太くも無い、言ってしまえば祖チンなのだが………

 ぬりゅっ…ぱぢゅ、ぱぢゅ!

「ふんっ、んっ!どうだ、いいか霊夢……気持ちいいか!」
「んっ、はぁ……イイよ魔理沙ぁ」
「そ、そうかっ……私もっ、だぜ!ふぅっ……」

 実を言うとおちんちん自体はそんなに気持ち良くない。
ただ、私のあそこで快楽を得ようと懸命にヘコヘコと腰を振る魔理沙がとても可愛く見えて……本当の事は言えそうにない。
しかし感じている「フリ」をし続けるのも難しいので私は胸をはだけ左手で乳首を、
右手でクリトリスを擦るように刺激し少しでも挿入の快楽を増そうと自らを愛撫した。

「魔理沙……今度は私が」
「あっ……え、霊夢?」

 しかし魔理沙が中々射精するまでにいたらないので少々痺れを切らしてきた私は
繋がったまま起き上がり魔理沙の肩を掴み仰向けに寝かせ股間の上に跨った。

「……私が上で攻めてあげる、魔理沙ぁ…………」

 ずぷ、ぬぷ、ずちゅっずちゅっ!

「え……ちょ、霊夢っ霊夢ぅ!ああっ!!」

 私は腰をぐにぐにと動かしたり上下させながら円を描いたり、一周したら逆回転したりと
単調だった魔理沙のピストンに比べ魔理沙の想定の範疇を超える
複雑なグラインドで魔理沙のおちんちんを膣内で操った。

「どう魔理沙、気持ちいい?」
「あひっれい、霊夢っ!うひぃ、あっ」

 どうやら声にならない程気持ちいいみたい。
この分だと射精も近いかな?

「はひ、れい…むぅ!わた、私ぃっ……」
「なに?もうイっちゃう?」

 じゅぷっじゅぷっ……

「霊夢、れいむ、ひぐっ!いぐっイクイクイクイクいっちゃ……うあああっ!」
ドクッドクッ!ドプププ、ぬぴゅ……
「あっはぁ……熱い、熱いよ魔理沙ぁ」

 盛大に出された精液が膣内を一周した後逆流し外へと垂れ落ちる。
私は射精を終え柔らかくなったたおちんちんを抜き魔理沙の顔へ自らの股間を近づけた。

「ほら、魔理沙……あなたの精液よ、なめとって頂戴………」
「う、あ………ちゅ、ぢゅるっ…んぐ、れろ」
「あふっ……そう、もっと舌を這わせて……いっぱい舐めて」

 少し調子に乗っていたのかも知れない、魔理沙の頭を掴み腰を小刻みに動かしていると……
魔理沙が予想外のところまで舌を伸ばしてきたのだ。

「んっ……ろれ、んっんっ…」
「え……ひゃっそ、ソコは……ダメ、魔理沙ぁ!」
「んん……霊夢?」
「だめ魔理沙、お尻ぃ……オシリ舐めちゃらめぇ!」

 ちょ、ダメ……本気でだめだって。
お尻の穴をぬるぬると熱い舌が這い回って……舌が、舌がぁ!

 はぁ、はぁ……いつの間にか私、四つんばいになって……
魔理沙は、魔理沙は相変わらず私のお尻を……

「へへ……霊夢の弱点見つけたぜ♪」
「だめだめだめぇ!舌、舌入れちゃらめぇっ!」
「んっんっ……はぁ、私のマグナムも……またリザレクションしてきたぜ」

 魔理沙の、魔理沙のおちんちんがぁ……私の、
私のお尻にぃ、入って……入ってくるぅ!!

 ずぷ、ずぶぶぶ……

「れ、霊夢の後ろの穴に入ったぜ……く、キツいな」
「はひっ、信じらんない……オシリにおちんちん、入っちゃったぁ……」
「う、動くぜ……ううっキツくて、気持ちイイ…な」

 ズッズッズンッズン……

「ひぎっらめぇっ!そんなに、そんなに動、かさないでっ!あひぃっ!」
「くふぅ、この乱れよう……さっきの本番は感じちゃいなかったんだな……?霊夢」
「かふっあひっ……ごめ、ごめんなさいぃっ!」
「今はっ今はどうだ霊夢っ!ふんっ」
「きもち、気持ちイイよぉ!お尻ぃ、気持ちいいのぉ!」
「こっちの、穴で……こんなに感じるなんて、霊夢はド変態だぜっ!」
「はひいぃっもっと!もっと突いて、おちんちんで直腸!グリグリしてぇ!」

 も……だめ、理性も何も………
お尻で……イくことしか……考えられないぃ。

「こんなに、こんなにキツ……霊夢、れいむっ私、もうっ出すぜ!」
「あはぁ、出して!腸内にっ!イッパイ、いっぱい射精してぇ!」
「あぁっもう出るっ!霊夢れいむレイム出る出る出るイっ……くぅぅぅ!!!」

 ごぴゅ、どぷ……どぽぽぽ……

「ひっ熱っ!熱い、あつひいいいいぃぃぃっ!!!」

 私はその時、頭の中が真っ白になって……しばらく気を失っていた。





――霊夢、おい霊夢起きろ!

 しばらくして目を覚ますと……魔理沙が私の肩を掴んで叫んでいた。

「おい起きろ霊夢、大変だ!」
「うー……はっ!……魔理沙あんたお尻におちんちん入れるなんて何考えて……」
「そんなことより大変なんだ霊夢!これ見てくれ!」
「はぁ?……あ」

 そんな事よりとはなんだ、と思いながらも魔理沙の股間に目をやると……おちんちんが消えていた。
まるで最初から無かったかのように、いやまあ本来無いものだけど。

「そ、そうか……今日で一ヶ月だったのね」
「お前忘れてたのか……私も忘れてたけどな」

 魔理沙に降りかかった魔法失敗の代償は今日で帳消しとなった。
一応ハッピーエンドなんだけど……何か腑に落ちないというか。

「どうしたんだ霊夢、お前のおかげで魔法が解けたんだぜ?」
「あ、あぁ……おめでとう魔理沙」
「うーん……何か引っかかるな」

 めでたい事なんだけど……なにか引っかかるのは……
もう魔理沙と交わる理由が無いってことなのかな。

「そうか分かったぞ霊夢、私のおちんちんが恋しいんだな」
「ば、馬鹿っ!何言ってんのよ!」

 エスパーかこいつは、まあ魔法使いだけど。
でも微妙に間違っている、おちんちんなんて無くても……

「あ、あのね魔理沙……」
「霊夢……おちんちんはまあ、その…無くなったけど……」
「……え?」
「これからも、その……いいかな?」
「い、いいかなって……何よ」

 魔理沙の言おうとしてる事は読めたけど……
だめだ、なんか私もドキドキしてきたわ。

「れ、霊夢と……ちゅっちゅしたいんだ!」
「……何よそれ!」パカーン!

 ドキドキして損した………他に言い方ってもんがあるでしょ。
でも、私も魔理沙と気持ちは同じだったり……

「い、痛いぜ霊夢……」
「馬鹿言ってるからよ、せめてもっと……ちゃんと言ってよ」
「う、うん…分かったぜ、ちゃんと言うよ」

 改めてドキドキしてきた、魔理沙の顔が真剣になっている。

「……私は霊夢が好きだ、その……マイペースなところも、強いところも、優しいとこも、笑う仕草も……
 怒ると恐いけど……けど、全部含めて霊夢が好きなんだ。その気持ちは一生変わらない、だから………おわっ!」

 無意識に、魔理沙が言い終える前に私は魔理沙に抱きついていた。
腰に手を回し、魔理沙も私の背中に手を回す。
感情が抑えられない、とはこの事なのか。自然に目から水滴がしたたっていく。

「魔理沙、魔理沙ぁ……私も………魔理沙が好き」
「霊夢………」

 魔理沙に触れる肌も、ドキドキして痛かった心臓も今は抱き合えているだけでこんなにも心地がいい。
この瞬間が、永遠に続けば……いいのに。

「霊夢、だから……その、アレが無くても……な?」
「もう……馬鹿」

 うつむき……不意に私が瞬きした刹那、唇と唇が軽く触れた。


     糸冬



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後書き

タイトル見てまさかオチがこんな甘エンドだと思うまい。
いつもストレートな魔理沙と普段は素直になれない霊夢、それがレイマリに置ける私のジャスティスである。

……実のところ最初はヘタレ魔理沙が強気霊夢と犯るだけSSだったんだ、
理由付けしていくうちにネチョ以外が長々となってしまいました、サーセンwww

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